
「ありふれるを汲み取る」
2024
アクリル、キャンバス
1620mm×1303mm



群馬県・渋川市にある伊香保温泉にて渋川アートリラ2024 in 伊香保にあわせて滞在制作をおこなった。
周辺地域をリサーチし、作品はホテル「楓&樹」に展示されている。
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本作品は、ある時の伊香保から一望できる、雲海に見え隠れする山々のイメージである。
伊香保の天気は移ろいやすい。突然の夕立や雷、それに合わせて湯のように溢れては流れる雲は、こんこんと湧き出ては流れていくお湯の印象と重ねられている。

「1000年を眺める」
2024
アクリル、キャンバス
803mm×1167mm



奈良・学園前地域にて開催された学園前アートフェスタにあわせて
周辺地域をリサーチして制作された。
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「奈良は1000年忘れられた田舎である。」とどこかで見た。
その言葉を思えば、学園前のあたりは100年ほど前から思い出された土地なんだろう。
学園前からほど近い池は、1000年以上前にできたという話がある。
ちょっと前までは田畑や山に囲まれた池の周辺は、どんどんと姿が変わって、いまは閑静な住宅地になった。
だけれど、池や堤防をまたいでの眺めから見える三笠の山や、近くのこんもりとした緑などは、大きく変わっていないのだろう。
それを思うと池や、そこから見えるものは忘れられた1000年を湛えた眺めに感じられた。
-学園前アートフェスタ「1000年を眺める」作品キャプション

「スターになりたい」
2024
布、糸、鉄
サイズ可変
photo: WACOH
marble「銀の端材でできる遊び」
製造物をつくる過程で、出てきてしまう端材。端材は、廃棄物として処理されることが多く、マイナスなイメージがあります。一方、クリエイターは、創造の中での最初の入り口には「遊び」があり、そこから創作へと繋げます。
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なににもなれなかった端っこが輝ける場所をつくりたい。そういうわけでまずは端っこたちを星にしようと思い立ちました。
重みを感じる金属を柔らかいものと合わせたい気分だったので長いこと日の目を浴びずにいた、小学生以来使っていなかった裁縫道具、モチーフに使ったけれど大学卒業後は置きっ放しにしていた布などをひっぱり出すことにしたのです。
これは無用でいたもの同士をくっつけて一つにすれば何かになるのか。新たなきらめきを探す試みです。

「しるし」
2023
アクリル、キャンバス
971mm×1458mm

「のぞむ」
2023
アクリル、キャンバス
971mm×1458mm

長野県・伊那谷を関西のアーティストが訪れて制作を行った。
伊那谷の北部にある王城山という山の山頂からの景色と、遠景から王城山をみた景色。
2 点の絵画を制作・展示。展示した作品は、長野・愛知・京都・大阪の美術館など文化施設を巡回した。
飯田市美術博物館 ・辰野美術館 ・豊中市立文化芸術センター ・白沙村荘 橋本関雪記念館・碧南市藤井達吉現代美術館
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「伊那谷の上端、辰野に降り立った日、ここには何がある ?
と人に尋ねると「あの山は登れるよ。」とその人は教えてくれた。
小一時間で上まで登れば、辰野やその向こうが見渡せる。
その日から山は目印になった。
帰るにはあの山を目指せばよかった。
「好きな時に帰ってくればいい」と。
山は静かに大らかに、ずっと待っている。」
-アーティストの触れた伊那谷展 – 作品図録コメントより

「ピンクノイズ」
2023
アクリル、キャンバス
803mm×1167mm


2023 年に開催された ARTabi2023 で「ピンクノイズ」が準グランプリを受賞。
長野の辰野美術館と東京の Sansiao Gallery を作品が巡回。
アジアを中心とした各国から作品があつまった。
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これまで「はかない」ことに興味をもち制作してきた。方丈記の「行く川のな がれは絶えずして、しかも本の水にあらず。~」や平家物語「祇園精舎の鐘の 声、諸行無常の響きあり。 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。~」 の感覚。
「はかない」ことが必ずしも悲しいだけのことではなく、安らぎや愛着をもつ。 昨今の言葉で言い換えればエモいなどと表されるものだ。
人間は 1/f ゆらぎに心地よさを感じる。それはろうそくの火の揺れや川の流れる 音だったり、木漏れ日などの不規則な揺れのことだ。
「はかなさ」とは一定のことに留まらず、物事が移りゆくさまを憂いて使われ ることが多い言葉である。であれば「はかなさ」もまた「揺れ」なのかもしれ ない。今作では道端に揺れているエノコログサをイメージとした。
エノコログサの揺れから、自然の摂理やはかなさへの感傷、はたまた宇宙の揺 らぎまでも感じられるような気がしている。
-ピンクノイズに関するコメント

2022
古道具、古材、セメント、タイル、OSB ボード、ガラス
サイズ可変



「トビチ美術館 2022」
地域の空き家かから出てきて、捨てられてしまった古い道具、建具などの品々。
それらを拾い集め、「空き家の幸」と呼称し、再び光を当てる~。(トビチ美術館より)
空き家からでてきた古道具や古材、家のお風呂からはがしたタイルなを素材としたインスタレーションを展開。
会場も長らく使われていない空き家。会場を下見した際の暗い中にも光がある空間に惹かれ作品イメージを固める。
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古くから人は大きな岩や木、山や海など人の力がかないそうもないモノを慕い、祈ってきた。
この家にはじめて入ったとき、ほこりの中に光がちらついている様子が古い神社のようだと感じた。
空き家や古道具の山を前にすると、なぜだろうか心惹かれる。
この気持ちはもしかしたら、長い時間やかなわない大きさを自然を思うことに近いのかもしれない。
それなら、家と古道具を神社に見立て、慕うように場をつくってみようと思う。
【作品コメント】